ようやく一九九六年三月末になって、建設省から一つの通達が出された。手すりを持った階段の幅員の考え方について、大きな変更がなされたのである。具体的にいうと、住宅の専用階段では手すりをつけたときに片側で一〇センチまでの飛び出しは、手すりがないものとして階段の幅員を考えてよく、両側に手すりがついている場合には、手すり内法寸法(手すりから手すりまで、じゃまされない有効な寸法幅)の最低要件を六〇センチにまで緩和したのである。通達が出されたのには、それなりの理由がある。一九九六年度から住宅金融公庫の融資制度が変わり、基準金利が適用される高齢化対応(バリアフリー)設計では、階段手すりの少なくとも片側設置が義務化されたので、従来のように内法とすると不合格になる住宅が続出する。ほかの条件は合格なのに、階段幅員要件が満足されないために、高齢化対応の住宅金融公庫融資が受けられないというのは、非常にまずい。しかも、不合格になる条件が本質的ではないとすれば、条件のほうを変えるのはごく自然な判断である。
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