私も四カ月にわたる家探しの中で、どうしても買いたいと思う物件がありました。土地七〇坪、総檜造りの注文建築。保土ヶ谷の高台にあるので法面(のりめん)も結構あったのですが、応接間の天井から張り出している横柱の一本一本に至るまで彫刻がほどこしてある豪邸でした。でも、やめました。売り主は繊維会社の社長。不況で倒産し、家を手放すというのです。案内されたときは奥さんも働きに出ていて、高校生の息子さんがたった一人、広い屋敷の中にぽっんと座っているだけでした。
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外来者である私に向けたその高校生の淋し気な眼を見ると、かわいそうになり、とても買う気にはなれなくなったのです。事情を知れば、どんなに良い物件でも人間として買うのを躊躇したくなるものもあるのです。その社長一家がどうなったか、いまだにやはり気になります。もし、私が買っていたとしたら、何となく寝覚めの悪い思いをしていたかもしれません。それはともかく、家探しのコツはあわてないこと。スタートしてから六カ月間を目標に、じっくり腰を落ち着けて進めましょう。素人だからこそ、念には念を入れたいものです。次に私自身の失敗談をご紹介しておきます。