過去の集落や建築の美しさは、環境への個別的対応の圧倒的集積によって成り立っていること、文化とは環境に対して個別的に対応した集積そのものであること、そして現代になって、環境への個別的対応関係が崩壊しつつあることを考えるようになった。たとえば、私たちが日常の仕事で直接ぶつかる問題である職人不足。職人不足というより職人の急速な減少がある。職人という仕事ほど、個別対応をもった仕事はない。一つ一つを場に応じてかかわり続けていく。しかし、大工人口で言えば、一九八〇年をピークに驚くべきペースで減り続けている。この職人の減少は、当然建築のつくられ方も変えていくだろう。建築の部品化はさらに進み。その生産は一部の企業によって独り占めされる恐れがある。この変化は決していいものとは思われない。過去の偉大な建築や住文化の作られ様はすべて不可能になってしまうのだ。二一世紀の初頭に、私たちはこの歴史のツケに直面せざるを得ない。これは建築だけではなく、さまざまな分野で個別性が崩壊することによって生じたさまざまなツケと対面せざるを得なくなるのだ。
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